機動戦士ガンダムDVD-BOX

買おうと思って買いそびれていた、ファーストガンダムTV版のDVD-BOXを購入しました。

小学生の頃は、それこそ再放送の度に観ていたわけで、午後5時になると外での遊びを切り上げて、ガンダムを観に帰ってきていたのを思い出します。

それから長らく間が空いて、10年くらい前に、ビデオレンタルで一話ずつ観たのが最後でしたが、今回改めてTV版を通して観ると、子供の頃や若い頃には分からなかった機微に気付いています。たとえば、ガルマの特攻には思わず涙してしまったのですが、思い返すに子供の頃は、それほどガルマの死に対して、思うところは無かったような気がします。

当時の自分にとって、ホワイトベースの面々というのは(カツ・レツ・キッカを除いて)年上のお兄さん、お姉さんだったわけで、それが高校球児がいつの間にか年下になっているのと同じように、いつの間にか年下になっていて、ガルマなどは特に未熟な青年として描かれているわけですが、その未熟な彼が、もう助からないと分かったときに「私とて、ザビ家の男だ」と言って特攻に向かうのをみて、あぁ彼はこんなに若い時分から、覚悟して生きていたのだな、と思うと、心揺さぶられる思いがします。

あとは、なんというか、ファーストガンダムというのは、思った以上に「子供用ロボットアニメ」の文法に則って制作されているのですが、子供用アニメの文法と、そこから脱却しようとするリアリズムの文法の狭間で、逆説的ですが、リアリズムの文法が行き届かない部分に対して、子供用アニメの文法がそれを埋めあわせる形で、免罪符的な働きをしているな、と感じました。

逆に、ガンダムのリアリズムというものが確立して、もう子供用ロボットアニメである必要がない状態で作られたZガンダムは、リアリズムの行き届かない部分が単純にアラに見えるのではないかなと思いました。この構造は、プロレスと総合格闘技の関係と、まったく相似かもしれません。

また、そのアラの部分に、新たに成立してしまったものが(悪い意味での)「アニメの文法」というものではないでしょうか。ファーストガンダムは、子供用ロボットアニメの色が残っている反面、今日のアニメのような「アニメ臭」がなく、好感が持てます。言い換えれば、スタッフが何を見て育ったか、何を元に作品を考えているか、という部分が、まだ映画だったり、小説だったりしていた時代で、今のアニメーターはアニメしか観たことがないのではないか、と思う時があります。