背負落

アテネ五輪が開幕し、今回も柔道に注目しているんですけど、両膝をついての背負い(背負落)を乱用することに疑問を持っています。

古流柔術―その術理と知られざる秘技」(寺尾正充著)によると、背負投というのは、少なくとも古流においては、受の持っている刃物の切っ先を、取が自分の脇に逸らしながら投げることを想定している技なのだそうです。しかし同じ状況で背負落をしかけると、胸を刺されてしまいます。背負投で相手を崩せなかった時に、変化して下に引き落とすのなら分かりますが、最初から両膝をついてしかけるのはどうかと。

背負落は、講道館のホームページにある技法解説(http://www.kodokan.org/j_waza/nagewaza_j.html)によると、嘉納治五郎が学んだ起倒流の「雪折」という技に由来するそうです。「雪折」は後ろから組み付かれたとき、片膝を落として前方に投げる技なのですが、その状況ならなるほどと思います。

あと、柔道に詳しい方に意見を聞きたいところですが、投げ終わりに取が体勢を崩してしまった場合、一本にすべきではないと思うのですが、どうなのでしょう。地面が固ければ、投げだけでKOできるので、その後のポジションを考えなくても良いということなのでしょうか。しかし頭から落とさない限り、ブルース・リーやウィリー・ウィリアムスがやったように、下から蹴られてしまう気がします。