「パイドロス」プラトン著

有名な対話編の一つ「パイドロス」を読みました。10ページ目で、

ええ、それがまた、ソクラテス、あなたに聞かせてあげるのにもってこいのことなのです。なぜかと言いますと、私たちのとり上げていた話というのは−一種独特の仕方でなのですが−恋(エロース)に関係のあるものだからです。というのは、いいですか−リュシアスはひとりの美少年が口説かれる次第を話に書きました。ところが口説かれるといっても、口説く方の男はその少年を恋しているわけではないのでして、そこのところがまさに、工夫をこらした月並みでない点なのです。つまり自分を恋している者よりも恋していない者にこそむしろ身をまかせるべきである、というのが、彼のその話の論旨なのですから。

というパイドロスの台詞を見て、というか「エロース」で、一気に掴まれた気がします。とはいえ、プラトンの世界観が仏教と共通点が多かったり、ソクラテスプラトンにとって弁証法とは何であったかを再確認したりと、短いながら多角的な面白さを持つ作品でした。次は「テアイテトス」を読んでみます。