「リピート」乾くるみ著

イニシエーション・ラブより驚ける!」という帯に惹かれて購入しました。読後の感想としては、僕が「イニシエーション・ラブ」で驚きすぎたせいか、帯に関してはどうかな、と思いましたが、物語の真相には、なるほど、と思ったし、前半部は、たしかに途中でやめられないし、結局一晩で読んでしまったし。

#「しんそう」とタイプしたら、第一変換候補が「神槍」でした。

なんだか秀作ぶりにそぐわぬ腰の引けた感想になってしまいましたが、理由としては、イニシエーション・ラブの倍の厚さがあるので、倍の衝撃というか、より複雑な構造を求めてしまったことと、あとは読後少し鬱っぽい気分になる点がマイナスかもしれません。フィクションで鬱になっている暇などなく、フィクションたるもの、前向きに実人生に向き合うための糧でなければならないと思います。

しかし、後書きにもあるように、この物語全体が示唆するところを合わせて考えると、やはり秀作には違いなく、確かに物語の背後には鋭い洞察が隠されており、その点については大いに考えさせられます。