「頭がいい人、悪い人の話し方」樋口裕一著


売れているようなので、買ってみました。第1章第1節を読んだのですが、「あなたの周りのバカ上司」の例として、次のような例が挙げられています。

「道徳的説教ばかりする」
「努力が大事」「真心をもって行動すれば、必ず報われる」「思いやりの心が大切だ」などと、誰もが反対できないようなことを言う。そして、がむしゃらにがんばれば物事は解決すると信じている。いや、信じるだけならまだしも、がんばることを人々に押しつけ、そうしない人間を非難する。
言うまでもないことだが、実際の出来事は道徳の次元では動いていない。(略)

ここでちょっと引っかかってしまい、先に進めずにいます。「誰もが反対できないようなこと」と言うけれど、どれも正しいことなのに、反対する必要がどこにあるのでしょうか。また、がんばらない人間は非難されて当然なのではないでしょうか。

おそらく、問題はそういうことではなく、こういう上司に対する本当の不満は「上司の現状分析は間違っている/浅すぎるのに、誰も上司に反論できない立場にある」ことなのではないかと思います。もし現状の問題点が実際に、上記のような「道徳的」態度に欠けることにあるとしたら、上司の「道徳的説教」は「押しつけ」でもなんでもないからです。

こういう上司を批判するのに「道徳的説教ばかりする」という表現を選んでしまう部下は、上司とどっちもどっちという感じがするのですが、まあ、まだ第1章第1節なのでもうちょっと先まで読むべきでしょうか。