船曳建夫「言葉とこころ−「学」」

私は、先生と生徒の間に起きていることは先生の「教え」ではなく、生徒の「学び」だと考えている。先生はどのように教育するかを考えるのではなく、生徒がどのように学習するかを考えるべきである。教育と学習の両方が必要だろうというのは、ほとんど間違っていないのだが、教育する「から」学習が起きると考えるのは致命的な誤りである。そうするから学習がつまらないものになる。どんなに「教え」ても、生徒が自発的に「学ば」なかったら何も起きない。 *1
「何にもならない」ではなく「何も起きない」という表現が面白いと思います。
よく大学生は何もしらない、会社に出たって即戦力にならない、などといわれるがそれでよい。大学は社会に出てから役立つ知識を身につける研修センターではないし、そうなってはならない。知識は現場で得るのが一番いい。大学で学ぶのは「学び」の方法である。人はその学びの方法を一度身に付けることで、一生、新しいことを吸収できる胃袋を備えることになるのだ。

*1:船曳建夫「言葉とこころ−「学」Phrase(15)」Agora June 2005より