理解と論理

id:bonebluebandさんから「僕はA君を理解出来ないが君のA君の理解は間違っている」という論理は成り立つでしょうか?」という難しい質問をもらいました。

仮に「A君」を(かなり単純化してしまいますが)「A君が真だと信じている命題の集合」={Φ|B(A)(Φ)}と考えることができるとすると、「A君を理解できる」というのは、少なくとも以下の四つの意味に取れると思います。

1.a.「すべての命題Φについて、B(A)(Φ)もしくは¬B(A)(Φ)が証明できる」
b.「B(A)(Φ)もしくは¬B(A)(Φ)が証明できる命題Φが存在する」
2.a.「すべての命題Φについて、B(A)(Φ)→Φ」
b.「B(A)(Φ)→Φが成り立つ命題Φが存在する」

すなわち1.abは、「僕の」様相論理の充満(full)に関するメタ論理的主張であるのに対し、2.abは「僕の」様相論理における命題群の真偽であるわけです。1.2.ともにaはA君に厳しく、bはA君に同情的になっています。

そして「君のA君の理解は間違っている」というのは、1.によれば「「君の」様相論理において、真(もしくは偽)であると証明されているB(A)(Φ)もしくは¬B(A)(Φ)の形式の命題の中に、「僕の」様相論理では偽(もしくは真)であると証明される命題が存在する」という意味でしょうか。

そうであれば、1.a.では、「僕の」様相論理が充満していなくても、B(A)(Φ)もしくは¬B(A)(Φ)の真偽が証明できる命題Φが存在しても構わないので、そのような命題のなかで、「僕の」様相論理と「君の」様相論理でB(A)(Φ)もしくは¬B(A)(Φ)の真偽が異なる命題が存在すれば、当初の命題も真であると言えるのではないかと思います。

しかし1.b.では、いかなる命題Φについても「僕」はB(A)(Φ)も¬B(A)(Φ)も証明できないので、「君の」様相論理との真偽の違いについて言及することはできないはずです。

一方、2.の意味において「君のA君の理解は間違っている」を考えるならば、「「僕の」様相論理と「君の」様相論理において、B(A)(Φ)→Φの真偽が異なるような命題Φが存在する」という意味になるでしょうか。

最後の解釈でちょっと違和感を感じたのですが、時間切れなので今日はここまで。あと、どうしてもメタ論理で論じざるを得ない感があるのですが、もし「君」を「僕の」様相論理の中に入れてしまって、最初の主張を様相論理内の命題として扱う方法があったら教えてください。