「アシク・ケリブ」セルゲイ・パラジャーノフ監督




近所のレンタルビデオ屋から「パラジャーノフ」コーナーが無くなって久しく、もう観られないのではないかと危惧していた矢先の、待望のDVD化。「ざくろの色」と一緒に購入。

映画に限らず、芸術の価値を「自分達を無意識的に取り巻いている価値観からどれだけ遠いところまで運んでくれるか」という、いわば旅の距離で測るならば、この映画は一つの極致であろう。この旅程の長さは、ビクトル・ユゴーの「美男ペコパンと美女ボールドゥールの伝説*1」を思わせる。

たとえるなら、心の底の、がらくたが山積みになっている中に横たわっていたガラス製のナイフが、にょっきりと起きあがったような清涼感。

*1:ライン河幻想紀行」より。