生成文法に興味のある人へ

色々なところで、「生成文法に興味を持っています」という若い人に会う機会があるのですが、いつもアドバイスすることは「生成文法の入門書は読むな」ということです。

生成文法の入門書から(いわば文系の言語学科的なコースで)入っていった人は、まともに考える人ならば、ほとんどの場合チョムスキーに落胆し、自分のやっていることに自信が持てなくなってしまいます。

経験上言えることは、生成文法に興味を持った人は、生成文法の入門書を手に取る前に、形式言語理論の勉強をするのが良い、ということです。チョムスキー階層の勉強をすれば、昨日の日記で書いたような体験が、チョムスキーの功績に対する根本的な理解につながり、そこから生成文法を批判的に検討しながら再解釈していくことができるようになると思うのです。

色々な意味で、理論言語学の完成を見ないままチョムスキーは引退してしまいそうですが、彼がやれなかったことの中にこそ面白い可能性が多々残されていると思うので、生成文法に興味のある人には是非、王道(と僕が考えているところのコース)を歩んで貰いたいです。